
<題名>筋層下ナス法724例の経験-安全・確実-
【目的】
Nussらが始めたMIRPEは、心臓及び肺の圧迫を解除することにおいて、最も優れた術式である。しかしながら当初のNussらの発表より、barの位置異常が高確率(6.8%)で発生していたことから、演者らは筋層下Nuss法を考案したので、紹介する。
2000年7月より2015年12月末までに724例の筋層下Nuss法を施行。症例は3歳~66歳。性別は男性592例、女性132例。グレードは2が487例、3が206例、4が39例、鳩胸が1例。バーの本数は1本258例、2本457例、3本9例。形態は対称性漏斗胸306例、右側漏斗胸383例、左側漏斗胸37例、鳩胸1例であった。
2006年12月22日より2015年12月末までに56例の乳輪切開法を施行。症例は14歳~60歳。バーの本数1本7例、2本44例、3本5例であった。2005年4月28日より2015年12月末までに49例の再手術施行。 症例は7歳~61歳、。性別は男性39例、女性10例、バーの本数1本17例、2本31例、3本1例であった。
肋骨から大胸筋を剥離する。
肋間筋を切除して、開胸する。
胸腔内に術者第3指を挿入する。
前胸壁を挙上する。
バーを180度回転させる。
Tevdek2糸(縫合糸)を用いて左右それぞれ2本の肋骨に結紮固定した。
ケリー鉗子を用いてテープを通した3本目のバーを誘導した。
直径5mmのシリコンドレナージチューブを挿入した。
胸腔内にドレナージチューブを留置した。
31歳男性の乳輪切開法と術後写真。
38歳男性の術前後写真。
38歳男性の術前後CT。
38歳男性の術前後MDCT。
38歳男性の心臓MDCT。
38歳男性の冠動脈造影。
38歳男性の矢状断。
38歳男性の心エコー画像。
【結論】
術後良好な形態が得られ、バーの位置異常は1例も認めていない。筋層下ナス法は勧められる術式である。
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