
お問い合せから初診来患まで

漏斗胸治療で松山笠置心臓血管病院を受診するには、当院のホームページにあるフォームからご連絡いただくか、お電話でご連絡ください。何かご質問があれば、あわせてお書きください。
1~2日で、電子メールのご質問内容にご返信します。電子メールかお電話で.ご来診の日程を調整して決めていただきます。
初診の際には、それまでかかっておられた病院やクリニックのご紹介状はまったく必要ありません。
検査はすべて当院でやり直しますから、それまでの検査結果を紹介状に書いていただく必要はないからです。
外来予約して、健康保険証のみご持参ください。
術前検査はとてもスムーズ
漏斗胸治療のためにご来患いただきますと、まず簡単な問診票にご記入いただきます。
次に、いくつかの検査を受けていただきます。2時間程度かかります。
漏斗胸の治療を行っている病院は大学病院や国立病院が多いのですが、そういう大病院では当院と同じ項目の検査だけでも大変な時間と手間がかかります。それから考えると、当院における検査はスタッフも非常に慣れているため、とてもスムーズです。

レントゲン
胸の正面像と側面像のレントゲンを撮影します。
心電図
漏斗胸が心臓にどのような影響を及ぼしているかレントゲンと共に診断に使います。
呼吸器機能検査
漏斗胸による呼吸器機能障害の診断と、術中の麻酔の準備のため、術後の呼吸機能の管理に必要なので必ず検査します。手術の直前に再検査することもあります。
CT
直前の一食を抜いていただいて、漏斗胸による心臓や肺の変形度を確認するためにCT撮影をします。
漏斗胸の問診の質問ポイント
検査が終了後、笠置院長がご面談して、いろいろなことをお尋ねして診察することになります。
「小さい頃風邪をひきやすかった」という問診票の項目にチェックを入れた人は、漏斗胸のために呼吸状態が悪かったということです。
姿勢が悪くないかどうかも質問ポイントです。
漏斗胸の人は、心臓や肺が圧迫されて痛いので、自然と猫背になる傾向があります。お子さんの猫背を無理に治そうそうとしても、漏斗胸であれば治せません。

「いつごろ漏斗胸に気がついたか」についてもお尋ねしますが、結構大人になってから気づいた人も少なくないようです。ですが、医療機関を診断される前に生命保険に入っていれば、入院や手術の治療費が支払われるので、初診の前に生命保険に入っておくとよいということは知っておいたほうがよいでしょう。
スポーツをしていたかどうかについてもお尋ねします。スポーツマンは筋肉や肋軟骨が固くなるので、もし漏斗胸の手術をするのであれば、1ヶ月くらいスポーツを止めて筋肉を休ませていただく必要があるからです。
次に聴診して心雑音があるかどうかをチェックし、漏斗胸の状態を確認します。
漏斗胸の状態は4段階のグレードで評価されます。胸全体が広くくぼんでいる人もいれば、 一部分だけが陥没している人、鳩胸の人もいます。また、まれに左胸が漏斗胸になっているケースも散見されます。
検査結果からわかる漏斗胸の身体異常
それから検査結果の所見についてご説明します。

まず正面像のレントゲンを見ると、漏斗胸の人はほとんどの人が脊椎側弯症であることがわかります。心臓の位置が左側に動いていることが多いです。

側面像からは、心臓圧迫の程度がわかります。背骨まで胸骨が陥凹している人もいます。そのようなケースではバーを入れる部分がないので、場所を確保してからバーを入れる必要があります。

心電図をみると、心臓が圧迫されているためにほとんどの人に不整脈が見られます。製図用ディバイダを当てて見ると間隔の違いがすぐわかります。
いちばん右側の電極ではP波が観測されますが、漏斗胸の人は心臓が圧迫されて電気のベクトルが変わるために、正常波形では上向きになるはずのP波が下向きになっていることが多いです。
呼吸器機能については、漏斗胸の症状のひどい人は、その人の体格を踏まえた標準的なパーセント肺活量が80~90%に低下しているケースが見られます。気管支ぜん息の人もいます。

CTの画像から最初に説明するのは、腹部についてのことです。
漏斗胸の人は、内臓のいちばん上にある肝臓が下に圧迫されます。それを受けて胃袋も下向きに落ちてしまいます。ですから食べても太らなくて痩せている患者さんが多いのです。
中には便秘を伴う腸炎を起こしている人もいます。CT画像ではお腹に溜まっているガスも確認することができます。

次に胸部を見ると、漏斗胸によって心臓の位置がずれていたり、右冠動脈と左前下行枝が押されています。
断層写真はだんだん胸から腹部に降りてくるのですが、漏斗胸の人はなかなか胃袋が見えてきません。肝臓に圧迫されて下に降りているためです。
造影の写真では、心臓の右室流出路が圧迫されていることがわかります。ここが圧迫されているため、右心室に負荷がかかっているのが、漏斗胸患者がしんどさを感じる原因なのです。
冠動脈に胸骨が当たっていたり、ずれている様子もご確認いただけます。
以上のように、漏斗胸の患者さんには様々な異常があるのですが、生まれつき等で慣れてしまっているために自分では「「異常だ」」と感じない人が多いようです。
ところが漏斗胸を手術で治療すると、「こんなに楽になるんだったらもっと若いうちにやっておけばよかった」とみなさんおっしゃいます。
漏斗胸治療をするかどうか決定するのは患者さん
ご本人の検査結果から以上のようなことをお話しして、どのような手術を行うのがよいか、治療すればどのように楽になるかについてご説明します。

手術をするかどうか決定するのは患者さんです。セカンドオピニオンのような形で受診される方もいらっしゃいます。軽度の漏斗胸の方は、運動療法と姿勢の矯正で経過観察することを選択される場合もあります。
当院における手術では、基本的にバーを2本入れて、確実に内臓への圧迫を解除し、漏斗胸を治すようにしています。胸が縦に長く陥没している人の場合にはバーを3本入れることもあります。100人に1人くらいのケースです。
そうしたことをご説明して、手術日を決めていただきます。
松山滞在に2週間、その後ご自宅で1週間くらいはゆっくりしていただいた方がよいでしょう。仕事のご都合のことも考えてご決定ください。
また手術まで2~3ヶ月以上期間がある場合には、初診時には術前検査を行わずに、手術前に外来受診していただいて、術前検査を行います。
漏斗胸・胸郭変形の症状でお悩みの方はお問い合せください
このコーナーでは、このすぐれた漏斗胸治療法である筋層下ナス法について、受診のお問い合せから、実際の手術法、術前検査、患者側の準備、医師側の心づかい、筋層下ナス法のメリットまで、まとめて詳しくご説明しています。ご自身やご家族の漏斗胸の症状についてお悩みの方は、ぜひご一読ください。
疑問点などは、お問い合せフォームからご質問いただければ、なるべく早くお答え申し上げます。
すべての漏斗胸患者のみなさんが、一日も早くお悩みから解放されることを祈念しております。