
漏斗胸の症例
症例は22歳男性。小学校の頃から上気道感染症が著しく、当院の事をインターネットで知り来院されました(図1)。
来院時の胸部X線撮影では脊椎の向かって左側に心臓の陰影を認めていません。また若干の脊椎側弯症を認めています。CTでは前胸壁の圧迫により心陰影は左方に偏位しています。心電図ではV1に二相性P波を認めています。これらが漏斗胸の典型的な検査所見です。

図1 漏斗胸手術前
漏斗胸が医師国家試験にしばしば出題される分野であれば、漏斗胸の方が年長に至るまで放置される事は無かったと思います。
漏斗胸手術前


漏斗胸ナス法術後


バー除去手術後


当院での手術前後の経過
初診から2ヶ月後に入院し、全身麻酔下にナス法による胸骨挙上術を施行しました。術後3日目には手術時に挿入したドレーンが抜去でき、術後10日目には退院しました。その後2日間松山に滞在した後、外来における検査が問題なかったので、自宅に帰宅しています。2ヶ月後に1度外来受診しました(図2)。
問題なかったので、「1年半後にメールして下さい。」とお話ししました。職場復帰はこの方は慎重で外来受診1ヶ月後に復職しています。
1回目の手術から1~1年半後にメールをして頂き、そこで相談して日程を決め、4月に外来受診し(図3)、翌日に入院し午後にバー抜去手術を施行しました。術後4日目には退院し、2日間松山に滞在した後、外来受診して再び問題なかったので、これで帰宅し、復職、その後1回外来受診して終診となりました(図4)。
この様な経過を一般的には辿ります。現在は1回目の入院期間は更に短くなり、基本的には術後8日目には退院できるようになっています。

図2 漏斗胸ナス法手術後

図3 バー抜去手術前

図4 バー抜去手術後
大人の方の漏斗胸治療手術をたくさん行っています。痛みの少ない漏斗胸治療のために努力しています。
漏斗胸・胸郭変形の症状でお悩みの方はお問い合せください
このコーナーでは、このすぐれた漏斗胸治療法である筋層下ナス法について、受診のお問い合せから、実際の手術法、術前検査、患者側の準備、医師側の心づかい、筋層下ナス法のメリットまで、まとめて詳しくご説明しています。ご自身やご家族の漏斗胸の症状についてお悩みの方は、ぜひご一読ください。
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すべての漏斗胸患者のみなさんが、一日も早くお悩みから解放されることを祈念しております。